「上り調子」とか「上昇曲線」とか言いますが、
右肩上がりのイメージを持ちたいと考えることがあります。
なんとなく調子が上がらない時、なんとか方向を上向きにしたいと思うものです。
心理学者の河合隼雄さんのエッセイ「働きざかりの心理学」の中に、次のような記載がありました。
「人間の人生は上昇と下降を同時に行っているものなのである。若さにものを言わせて、どんどん上昇しているように思っているときでも、それは実のところ死に近づいているのであり、老人になってひたすら体力は衰えてゆく一方であっても、たましいの方は上昇し続けていることもある」
「頑張りさえすれば何でもできる、と言いたいほどの自信を持ちつつ、一方では、自分の力ではいかんともし難いことがこの世に存在することを知り、謙虚な怖れの感情を体験することも、人生には必要なように思われる」
河合さんの指摘を読むと、物事の表裏一体について考えさせられますし、物事をどちらの面でとらえても、もう一面の存在を頭の片隅に置いておくことが大切なように思います。
上り調子だからといって、良いばかりではなく、下り調子だから悪いばかりでもない。
そう思える心のゆとりを持っておくとよいのかもしれません。
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