2020年1月27日月曜日

【発達障害に生まれて】子どもに向き合うこと、障害に向き合うこと、社会に向き合うこと



「発達障害に生まれて」は、
知的障害のある自閉症の子どもを育てている母親17年をまとめた一冊。

言葉をなかなか発しない。
他人に関心を示さない。
子には強いこだわりがあり、
場合によってパニックを起こす。
家のなかを飛び跳ねる
気になる人にしつこくする

そんな特性のある障害を持つ息子。
子育ての過程で起きる様々な出来事は、
障害のない子の子育てと比べると、「大変」と思われがちかもしれない。

しかし、「大変」だから「不幸」なわけではない。
母親には、そんな子と向き合うなかで「喜び」があり、「幸せ」がある。

発達障害(自閉症)の子と母親の一つのケースを通して、
子どもを育てること、人を育てることは、どういうことなのかを
改めて考えさせられた。

子どもに向き合うこと、
家族に向き合うことは
自分自身に向き合うことかもしれない。
そして、自分を取り巻く社会について考えたり、
自分が身に着けている価値観を問うことなのかもしれない。

#発達障害
#読書



2020年1月22日水曜日

この映画のラストで、スポーツをすることの意味を教えられた。映画『だれもが愛しいチャンピオン』



結果を出すこと
勝負に勝つこと
スポーツにおいて、それらは重要だ。
だが、それだけではないと思う。

映画「誰もが愛しいチャンピオン」は、
職を失い、妻とも別居中のバスケのコーチが、
知的障害者のバスケチームの指導をする物語だ。

「障がい」とは、何か。
「教育」とは、何か。
物語の根底に、そうしたテーマが置かれているのを感じた。

スペインの映画だが、日本の知的障がい者を取り巻く環境や問題と重なる面も多い気もする。

笑い、涙して、最後に、あたたかい気持ちに包まれる。
スポーツの意義って、そういうことにあったよね。と思い出させてくれる。

#誰もが愛しいチャンピオン
#映画
#映画レビュー




2020年1月17日金曜日

【ありのままがあるところ】生き方、在り方、価値観を揺さぶられる一冊



これは、生き方、在り方、価値観を揺さぶられる一冊だ。
「あるがままがあるところ」を読み始めて、
新年早々、自分自身の他人に対する態度を振り返り、何を基準にして生きているかを見直すことになった。

子育てをしている方、教育に携わっている方、指導や支援に携わっている方、
組織の中で管理職をされている方には、ぜひ、読んでほしい。

大人が子どもに対して、
職員が障害のある利用者に対して、
社会の中で生きていくために、「必要なこと」を身につけさせようとする。
それは、相手の「幸せ」を願ってのことだ。

しかし、その「幸せ」は、本当にそうか?
その「必要なこと」について、本当にそうか?

障害のない人が、組織の中で、居心地の悪さを感じたり、息苦しさを感じるのはなぜか。
不安に駆られて、何かを求めて、行動するのはなぜか。
重度の知的障害者の生き方、在り方を見て、問い直してみると、見えてくるものがある。

#しょうぶ学園
#鹿児島



2020年1月7日火曜日

本をつつむ装幀をつくる人 #つつんで、ひらいて



「この本!」

そう思うのは、本の外側の部分、表紙や裏表紙、背表紙などを目にしたときだ。

棚の中で、その本の背表紙がキラリと光って、目が留まる。

平積みにされた表紙が、特徴のある顔のように見える。
目があってしまい、そらすことがむつかしい顔だ。

「どんな本だろう?」と手に取る。

帯のコピーを読んで、
「読んでみようかな」と思う。

装幀の手のひらの上で、購買意欲を良いように転がされる。

読み手の気持ちを動かすような、本の装幀をつくる人は、

その1冊の本の装幀をつくるために、
自分自身の心を動かしている人かもしれない。

装幀者・菊地信義さんを追ったドキュメンタリー「つつんで、ひらいて」を観た。

紹介される本の装幀、ああ、あの本も、この本も、菊地さんの装幀だったことを知らずに、
本を知っていた。

装幀をつくる過程が、段階を踏んで紹介されるので、
出版業界の方は、「そう、そう」と思うし、
そうではない方は「そうやって、本ってできるのね」と感心するだろう。

丁寧な装幀は、やはり、手がかかっている。
材料にもこだわっていたりする。
一つ一つの工程に工夫がある。
つくっている人は、いろいろな課題があっても、結局、それを楽しんでいるようににみえる。

映画「つつんで、ひらいて」は、
本をつくる「職人」さんの仕事を紹介した映画といえるだろう。


こだわりのある職人さんなので、プライベートはどんな人だろうと興味がわいた。
ドキュメンタリーなので、そういう部分も出てくるかなと思っていたのだが、
骨董の趣味が少し紹介されただけで、家族とか、日常の暮らしについては出てこずに終わって
しまったので、ますます気になった。

菊地さんはエッセイを書かれているそうなので、読んでみようかな。


https://www.magichour.co.jp/tsutsunde/



2020年1月6日月曜日

年賀状に書いた言葉は?


今年の年賀状に書いた言葉は、「学び」に関するもの。
一言で収まらず、長めの文章になってしまいました。

『学びとは、はじめから自分の手許にあるものを掴み取ることである、とハイデッガーは言う。
すなわち、人は何かを知ろうとするとき、必ず、知ろうとすることに先だってすでに何かを知ってしまっている。
一切の知識も何らの思い込みもなしに、人は世界と向き合うことはできない。
そこで何かを知ろうとするときに、まず、「自分はすでに何を知ってしまっているのだろうか」と自問すること。
知らなかったことを知ろうとするのではなくて、はじめから知っていることについて知ろうとすること』

森田真生さんの著書「数学する身体」に書かれていたもの(一部改編)です。



自分が、まだ「知らないこと」を探して、見つけて、知ろうとすること。
私は、それを「学び」だと思っていたように思います。

でも、自分が何を「知らない」のかを把握するのは、
自分が何を「知っている」かを知ることが前提になっています。
これまで知らなかった、未知のものだと思ったことも、
 
実は、すでに知っていたり、知っていることが基盤にあるものかもしれません。

#読書
#森田真生
#年賀状