2020年9月21日月曜日

【13歳からのアート思考】情報や知識に縛られないアートの見方、とらえ方

 

 「13歳からのアート思考」は、アート(芸術)とどう向き合えばいいのか? 
 基本的な姿勢を示してくれる一冊。

 「こういう見方が正しい」 「こういう捉え方がよい」ということではなく、 アートを見る時に、既存の情報や知識にとらわれがちなことを指摘し、 そこから自由になるには、こんな問いを立ててみたら?と提案してくれる。

 既存の情報や知識がいったん頭に入っていると、そこから「自由になろう」と思っても、どうしたらいいのか分からなかったり、 縛られていることに気づかないまま、モノを見てしまっていることが多いと思う。 

 「13歳からの」というタイトルだが、大人にも十分に役に立つ。 

 子どもの頃に、アートについて、こういうふうに見方を教えてくれる人と出会えていたら、 大人になった時に違う感覚を身に着けているのかもしれないと思ったりした。

2020年9月9日水曜日

【二週間の休暇】大人の夏休みとは、こういうものかもしれない

 


もしかしたら、「大人の夏休み」とは、こういうものなのかもしれない。
フジモトマサルさんの「二週間の休暇(新装版)」を読んで、そう思った。

大人になると、なかなか休めない。
会社員として働いて、
休日になると、その時間を有効に活用しようとする。
家を掃除したり、料理したり、趣味をしたり、
習い事をしたり、資格の勉強をしてみたり、、、。
子どもがいれば育児があり、
高齢の親がいれば介護があったりする。
稼働している日が多い。

そんな大人にとって、本当に休むのは、どういうことなのか?

「二週間の休暇」は、
記憶をなくした主人公が、2週間、それまでとは異なる世界で過ごす物語だ。
なぜ、そこで暮らしているのか不明のアパートで、手料理をつくったり、
見知らぬ街の住人、鳥たちのインタビューを起こして、まとめたり、
それまでと何かが異なるけれど、何かが変わらない世界。
そこで過ごした二週間は、主人公に何をもたらすのか。

大人の夏休みは、
それまでの自分をいったん忘れて、
自分は一体、どんな人間なのか
どんな生活をしたいのか
どんな仕事をしたいのか
どんな人と出会いたいのか
それらを確かめるための時間を過ごすことではないだろうか。

フジモトマサルさんの創った世界では、
登場人物たちが発する言葉は多くない。
物語を展開するために使われる言葉もほとんどない。
描かれた人や動物の動き、
建物や景色で、ゆるやかに物語が進んでいく。
そして、そのなかに、文字にしない言葉がたくさん詰まっている。