2019年12月19日木曜日

生きているか、死んでいるか #掃除婦のための手引書



「学校に行きたい」
「お医者さんになりたい」
いわゆる発展途上国の子供たちを追ったドキュメンタリー番組で、
家の仕事を手伝ったり、兄弟の面倒をみていて学校にいけない子どもが、
こんな夢を語っていたのを見た記憶がある。
栄養状態がよくないためか、年齢のわりに、小柄な体。
よれよれのTシャツに、ぼさぼさの髪の毛、
しかし、黒い瞳がキラキラと輝き、笑っていた。

日本の子供たちは、どうだろう?
死んだような瞳で、教室にいないだろうか。

テレビに出てきた子と同じように
「学校に行きたい」と思うことは、ないかもしれない。
さまざまな事情で、「学校に行きたくない」と思う子は、
けっこうな人数いるようだ。

途上国の子と比べて、日本の子供たちは、夢を描けていないのではないか。
少し心配になってきた。

「掃除婦のための手引書 ルシア・ベルリン作品集」
これは、すごい。なんなんだろうと、驚いた一冊。

暴力、貧困、ネグレクト、ドラッグ、アルコール中毒、生と死…。
物語に描かれている世界は、厳しい。
苛刻な生活環境を背景にしている。

しかし、暗くはない。
「幸せ」とはいえないかもしれないが、登場人物に悲壮感を感じない。

日々の暮らしの中で、むちゃくちゃになりながらも、
イキイキとした生命感を感じさせる。
温かい思いが漂う。

1冊、読み終えても、なんなんだろう、と再び、思う。

そして思い出したのが、冒頭に紹介したテレビのドキュメンタリーだ。
途上国の子どもたちが将来の夢を語り、笑った顏だ。

本書を読んだ後には、生きていること、そのものの輝きを思い出す。
「生」の隣り合わせに「死」があることも確認させられる。


掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集



2019年12月4日水曜日

この本を読んで知りました



アフガニスタンで活動されていた医師・中村哲氏が銃撃され、
亡くなられたというニュースがありました。
とてもショックで、大きな存在を失った気持ちでいます。

私が中村さんやペシャワールの会の活動を知ったのは、
「医者、井戸を掘る」という本がきっかけです。

なぜ、医者が医療だけでなく、井戸を掘ることに注力するのか。
この本を通じて、その理由を知りました。
すごい方がいるものだと、感動しました。

改めて、この本をお勧めします。