2018年5月29日火曜日

「コミュニケーション」が大切。誰もが納得するものに、魔物が潜んでいる




「コミュニケーションが大切だと、常々、ミーティングで共有しているはずなのですが、
うまくいかないんです」

チームのリーダーとして仕事をされているクライアントさんから、こんな課題が出てきました。

コーチングをしている中で、
「コミュニケーション」
「チームワーク」
「リーダーシップ」
こういう言葉って、一種の「魔物」だなぁと感じることが多くなりました。

「コミュニケーション」を大切にしよう
「チームワーク」をよくしていこう
管理職は「リーダーシップ」を発揮しよう

誰も反対しない。わざわざ言わなくても、その通りだと、思っている人のほうが多い。

「コミュニケーション」ひとつをとってみても、
それが「大切」とか「必要」だと指摘することや、
逆に「不足」とか「欠けている」ことを指摘することで
終わりにしないことが大切だと感じます。

「魔物」が持っているインパクトに影響されて、
課題を見たつもりになっているけど、
本当に「見てる?」と疑ってみることが必要なのではないでしょうか?

たとえば、「コミュニケーション」と一言でいっても
一人一人のとらえているものは、違います。

相談者(クライアント)さんは、仕事のチームで1年後に達成したいことがあります。
そのためにはチームワークをよくする必要があり、
コミュニケーションが大切だと伝えています。
でも上手くいかない。
特に、コミュニケーションが課題と考えていました。

そこで、改めて尋ねてみました。

「コミュニケーションがうまくいっているチームになったとしたら、
誰が誰に対して、どんなやりとりをしていると思いますか?」

「コミュニケーションがうまくいっているチームになったら、
あなたは、誰に、どんなことを話していますか?」

そんな問いを重ねてみると、

「あれ、意外と、チームのメンバー同士のコミュニケーションはできているかも・・・」

「自分と部下とのやりとりが、業務の確認的なことばかりになっているかもしれない」

相談者(クライアントさん)、現状が見えてきたようです。

自分が求めている「コミュニケーション」「チームワーク」「リーダーシップ」とは、
具体的にどういうものなのか。

手前味噌かもしれませんが、

もう一つ深掘りして考える作業に、コーチングは有効だといつも思います。

「魔物」をしっかり見てみると、「枯れ草」だったりする。

誰もが「その通り」と納得するキーワードが出てきたら、ご用心。



2018年5月17日木曜日

ここ最近で最も激しく心を揺さぶられた #美しい顔#群像新人文学賞



61回群像新人文学賞を受賞した北条裕子さんの「美しい人」。
これは、すごい。

最近読んだ小説の中で、最も激しく、心が揺さぶられた作品です。

主人公は、震災で津波の被害を受けて、避難所で生活している女子高生サナエ。
一人の被災者の経験、感情や思いの揺れ動きを、女子高生の語りで表しています。

事件や事故、災害で大切なものを奪われるなど、人生が大きく変わってしまう経験は、
言葉にすればするほど、現実とかけ離れてしまいそうになる気がします。
この作品は、小説(フィクション)ですが、テレビや新聞が伝えきれなかった被災者の心の奥底を、曝けだしてみせることに成功しています。

サナエの語りの生々しさが、「生きている」ということを、読者に実感させるものになっていると思いました。

実際に起きた出来事(この作品の場合は、東日本大震災)について、
どのように見ているか、感じているか。捉えているか。
それを踏まえて、どのように伝えるか。描くか。

伝える側に立つ身として、考えさせられることが多かったです。

群像 2018 06 月号 [雑誌]



#群像新人文学賞#美しい顔#東日本大震災

2018年5月15日火曜日

「アホ」と戦ってしまった痛い経験




田村耕太郎・著の「頭に来てもアホとは戦うな!」が
ビジネス書売上ランキングの上位に入っている理由、なんとなく、分かりますね、

「アホ」と戦ってしまった経験、思い当る方が多いのではないでしょうか。

あんな「アホ」を相手にするのは時間の無駄だと思いつつ。
「アホ」の態度や言動に納得がいかないことがあり、
ついつい相手にしてしまい、
事態が悪化したり、
自分が損をしたり、
余計な悩みが増えたり、そんな痛い経験。
私は、ある、ある。

友達からも、会社の同僚からも、
「あなたは、不器用だ」
「損している」
「もっと上手くやればいいのに」
と言われることが多いですし、

自分の経験を振り返ってみても
「アホ」を相手にしてしまい、
ついつい戦ってしまいがちなタイプだと自覚しています。

その戦いを通して、気が付いたことや、学んだこともあると
考えたいところですが、

この本の著者の田村さんが書いているとおり、
「アホ」と戦うために、時間やエネルギーを使うなら、
自分自身が本当にやりたいことに、それらを注ぎ込みたいものです。  

仮に、「アホ」と戦って勝利しても、
その瞬間は、スッキリとするかもしれないけれど、
ただ、それだけで、結局は、得るものがないというご指摘も、
まったく、その通りです。

瞬間風速のスッキリを味わうことよりも、
自分がもっと前向きになれることに、
気持ちを向けたいと、改めて思いました。





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2018年5月14日月曜日

理由はよく分からないけれど、何かがある。#のんびる#エッセイ



どうして、「障害」「障害者」のことについて、あれこれ書いたり、関わったりするの?

その質問の答えになったのか、どうか。

私自身、よく分からないけれど、ちょっと思い切ってみました。

根っこのところに触れるものを書かせていただいたのは、初めてかもしれません。

「のんびる」6月号

「いっしょがいいね。障害があっても、なくても」
このテーマの第二弾。

上記のURLから注文できます。

ご関心がある方は、ぜひ、お読みください。


2018年5月11日金曜日

〇〇系って、実は、深い。いざと言う時に気がつくもの。#新しい分かり方#佐藤雅彦




佐藤雅彦さんの「新しい分かり方
この本は、写真や図などで体験しながら、
自分自身がどのように物事を捉えているかを知ることができる一冊です。
面白い試みの書籍だと思います。

後半のエッセイに盛り込まれていた「系が違う」では、

普段は特に気にしないが、ある時ふいに、自分が乗っている系をいやというほど意識させられることがある。例えば、オリンピックでは国を、高校野球では県や府や都や道を、災害時には家族を。そして、その時には、その系に対して、太陽系のように圧倒的な信頼を寄せていたことが分かるのであると書かれており、「〇〇系」という言葉について考えさせられました。

たしかに、自分の「〇〇系」を考えてみると、
自分に関わりがある地域や所属している集団が思い浮かびます。
意識しているのは、自分との「つながり」。

普段は意識していないけれど、
災害の時などは、自分が持っている「つながり」を意識し、
それを心の支えにしています。

「〇〇系」だと思える「つながり」が浮かぶことって、
すばらしいことかもしれません。





2018年5月9日水曜日

生きる意味を問われたら? #世界といまを考える3 #是枝裕和監督#対談集



生に意味を持たせると、その裏側に「意味のある死/意味のない死」という考え方が出て来るような気がするので、それはとても危険だなと思うんです。

「誰も知らない」「そして父になる」などの映画を監督されている是枝裕和さんの対談集の最新刊「世界といまを考える3」。
是枝さんは、オウム真理教信者や日航機墜落事故遺族に関する著作がある野田正彰さんとの対談の中で、「生きる意味」について触れており、

映画の上映後に、劇場で観客とディスカッションする機会に、10代の子たちから「生きる意味は何でしょうか?」という質問が寄せられることが多いことから、意味のある死/ない死という考え方に危険性を感じていると言います。

精神科医で作家の野田さんは、生きる意味を問われたら

「いろいろな生命、人、動物、植物と対話していくなかで、自分が生きているリアリティーを感じている。さしあたっては、この社会の中で起きていることに気づいて、それについて分析する。
その過程で少しでも現実を見る目が深くなっていくということに、意味を見い出すことができる。仕事以外の世界では、身近にいる人に自分の感じたことを伝えたり、理解し合ったりしていくことに、生きている意味がある。
そういうふたつの面をもって、私は生きていることとつながっている」
と説明すると言います。

人との対話を通じて、植物や動物などとの対話を通じて、生きていることを実感する。

そして、自分が感じたことを、身近な人と伝えあい、互いに理解しあうなかに、生きている意味があるというご指摘に、なるほど、と思います。


是枝さんは、ジャーナリズムの問題点についても触れ、
野田さんに「どうすれば、観る人の思考を促す報道になるか?」と質問します。

野田さんは、「報道する側が、一つひとつの出来事について、自分が考えたことを伝えること」と答えます。

裏を返せば、報道する側が何も考えず、強者と弱者、善人と悪人という、ステレオタイプ的な伝え方をしていることを問題だと考えているということです。

事件、事故の報道を見たり、読んだりするとき、

報道している人たちの「考えたこと」があるか。

また、それらの報道を受け取っている自分に「考えていること」があるか。

つど都度、捉えなおしてみたいと思っています。

#読書#是枝裕和#対談集#世界といまとを考える
  

2018年5月8日火曜日

体を動かしてわかった、自分のこと #インプロ#ワタリーショップ

#善福寺川#初夏

頭でっかちなので、いろいろと考えてしまいがちな自分。
どうしたら、この癖を改善できるだろう?などと、また、考えたりします。

ずっと、気になっていた
渡猛さんのインプロワークショップ「ワタリーショップ」
ついに、参加することができました。

インプロとは、インプロビゼーション=即興 のこと。
音楽、演劇など、芸術の分野で使われていますが、
渡さんのワークショップは、自分の中にあるものに気がつくこと、
自分を丸のまま受けとめて、一緒にいる人と楽しむことに焦点を当てています。

インプロのワークは、
頭で考えながらではなく、体を動かしていくことを通じて、
自分の心の中に入っていくような体験といえばよいでしょうか。

ペアを組んでする動きや、
参加者で輪になって、言葉を投げたり、受け取ったりする動きのなかで
自分が何を感じているか、
何を恐れているか、気にしているかが、分かってきます。

私は、自分の動きや、言葉が「詰まってしまう」瞬間、
「あーっ、私って、こういう側面があるよなぁ」と実感するところがありました。

できないことをダメだと思ったり、恥じたりしなくていいということが、よく分かります。

自分が心の中に抑えこんでいるものが「ある」ってこと、
その存在を「認める」ってこと
そういうことを無理なく、できるようにするアプローチがインプロなのだと思います。

ワタリーショップを終えた後は、しっかり全身運動をしたような心地よい疲れを感じつつ、気持ちはスッキリ。軽い憑き物がとれたような感じがしました。
体験するたびに、また、新たな発見がありそうな気もします。

2018年5月7日月曜日

何度も涙がこぼれた理由は?#りんどう珈琲#クルミド出版



なぜ、涙がこぼれるのか、分からないまま何度も泣きました。

「りんどう珈琲」(古川誠・著)
を読み終えた後、改めて自分自身に「なぜ?涙がこぼれたんだろう」と問い直していますが、ハッキリとした理由は分かりません。

主人公の女子高校生・柊ちゃんと似たような思いや気持ちを
かつて、自分自身が抱えたことがあったような気もするし、

分からないもの、曖昧なもの、違和感を感じたものに対して、
まっすぐに向き合っていこうとする柊ちゃんの姿勢を、
少し羨ましく感じたかもしれません。

「大人」とみなされる年齢に達してから、かなりの時間が経過しました。
その時間の中で、さまざまな人と出会い、楽しいことも、嫌なことも経験し、
かつては熱くなったり、憤ったりしていた事柄に対して、
今はもう、心を燃やすことが空しくなっていることが分かり、
新たなチャレンジをすることが、少し億劫になっています。

そんななかで読んだ「りんどう珈琲」は、
「自分が大切にしたいものは、何か」ということを、
改めて考えさせてくれる物語でした。

12話で、
主人公の柊ちゃんが、次のように語る箇所があります。

わたしは、大きな声でたくさんしゃべる人が評価されて、
静かで黙々と自分の人生を生きる人が損をしているように感じる場面をたくさん見てきた。

わたしは、そういう違和感をいつも持っていた。

でも、わたしはお店で働くことで、弱い人や孤独を抱えている人の優しさを知った。
そういう人の中に、深くて暖かい世界があることを知ったんだ。

「静かで黙々と自分の人生を生きる人が損をしているように感じる」
そんな場面を、私自身も感じたことがありました。
障害のある人に関わる活動をしているのは、「損をしている」と思える場面を、
何か少しでも覆すような行動をしたい気持ちがあったことが、理由の一つとしてあったように思います。

忘れていたわけではないけれど、改めて思い出し、
その頃と、今とが、まったく同じというわけではないけれど、
変わらないものもあると感じています。

「人それぞれ、自分の人生を生きている」
そんな指摘に頷きながら、自分の振り返りを促された一冊です。