2021年3月24日水曜日

【そして、バトンは渡された】血縁?育てた人?共に暮らしている人?「家族」の定義を考えさせる1冊

 

 「家族」とは、何か? 

 血がつながっている人が、家族なのか。

 戸籍が同じ人が、家族か。 

 それとも生活を共にしている人が、家族と言えるのか。

 「家族」の定義、在り方を考えさせる1冊。

 主人公を取り巻く「家族」の人間関係は、小説だから成り立つもので、リアルさはない。 

 非現実的だと思うけれど、こういう「家族」関係があってもいいかなと感じさせる。
読後は爽やか。


 

2021年3月18日木曜日

【Weの市民革命】より良い社会にするために、私にできること

 

 佐久間裕美子さんの著書「Weの市民革命」を読んで、元気が沸いてきた。

この社会をより良くするために、私も何か少しやってみよう!と思えたからだ。

本書は、「消費」を通して、企業や行政に影響を与えている市民の活動を紹介している。

例えば、環境に配慮しない企業の製品は買わない。

従業員の雇用格差や賃金の低さが問題になっている企業の工場の誘致に反対する。

アメリカでは、そうした活動が大きな影響力を持ち、企業が当初の方針や計画を転換せざるを得ない例もあるという。

ミレニアル世代(1981年から96年生まれ)、「Z世代」(諸説あるが、97年から2000年生まれ)の世代は、学生ローンを抱えていたり、政治に対する不信感が強くあり、自分たちで社会を変えなければならないという危機意識、モチベーションが高いそうだ。

自分一人だけのためではなく、誰かも含めた「We」のために行動する。
そういう人が一定数に達すると、企業や行政に対しても影響力を持つのだろう。

日本でも、SNSを上手に活用して、自分たちが直面している問題についてより多くの人と共有したり、デモに参加して政府に問題への対応を訴える人は以前より増えているように感じる。

良し悪しがあると思うが、SNSで意見を発信しやすくなり、同じ問題意識を持つ人とつながれる可能性が広がったからだろうか。 ただ、企業や政治を動かすくらいの活動につなげるには、まだまだ工夫や戦略が必要なのかもしれない。

私個人にも、まず、消費者の一人としてできることがある気がしてきた。


2021年3月9日火曜日

【たいせつなこと】大人のための絵本

 
 「たいせつなこと」とは、何なのか?

 子どもも読める、シンプルな言葉で 物事の本質、核心に迫っていると思う。

 小さな子どもに読み聞かせることを想定しているけれど、 
読み聞かせをする大人の心に、ずしーんと響くメッセージが込められている。  

胸打たれる大人、多いんじゃないかな。



 

2021年3月5日金曜日

【かくかくしかじか】こんな大人に出会いたい


漫画「かくかくしかじか」 絵画教室の「先生」と、著者である私の物語。

 著者が高校から美大受験、卒業して漫画家になっていく過程を、 先生とのエピソードを交えて綴っている。 

 先生は、熱い。怒鳴ったり、乱暴だったりする。
 今なら、パワハラなどでクレームが寄せられる人物かもしれない。 

 ただ、先生は、教え子たちにしっかり向き合っている。 先生自身は、描くこと、創作することにまっすぐ向き合っている。 

 先生のすごさを、若いころの著者は気が付かない。 

 著者が年齢を重ねたからこそ、先生の存在の大きさに気づき、 漫画化したくなったのかもしれない。 本当は先生に伝えたかった言葉を、作品に込めているように思う。
 

2021年3月1日月曜日

【推し、燃ゆ】そういう感じ、分かる

 
 芥川賞受賞作品「推し、燃ゆ」

 まず、タイトルから魅かれて「面白そう」だなと思っていた。 

 「推し」とは、アイドルや俳優などで、自分が一番応援している対象人物を指す。

 「燃ゆ」とは、燃える。つまり、インターネット上で「炎上する」(批判などが殺到して、収拾がつかなくなる)ことだ。 

 自分の推しが炎上するという出来事は、小説の世界だけでなく、現実に起こるかもしれないと思わせる。 
 そして、読者の私と、主人公のあかりとは、10代の時の社会背景も、家庭環境も異なるのだけど、あかりが感じているものを自分も10代の頃に感じたことがあったような気がしてくる。 主人公と「そういう感じ、分かる」と共有する感覚を持った。 
 「テーマ」は大事だけど、そのテーマを伝えるうえで、いかにディティール(detail)を描くかが大事だなと、改めて思った一冊。