2021年6月20日日曜日

【オリンピック 反対する側の論理】反対の理由をより深く知ることができる1冊

 
 パラスポーツが好きだ。 
より多くの人に知ってほしいし、観てほしい。 
そう思って、障害者スポーツ情報サイト「パラスポ!」をつくってきた。 

パラリンピックは、パラスポーツが注目を集める大きなチャンスだ。

ただ、新型コロナウイルス感染症の問題が続いている中での開催は、どうなのか?
開催中止を求める声が大きく聞こえてくる中で、競技の模様を伝えることは、 コロナ禍での開催を全面的に支持している姿勢を示すことになるのではないか?

 この1年ほど、本当に、ずっと悩んでいる。
問いの答えは、出ない。

最近、「オリンピック 反対する側の論理 東京・パリ・ロスをつなぐ世界の反対運動」 (ジュールス・ボイコフ、作品社)を手に取った。
 反対活動、反対意見を前に、目をふせてはいけないと思ったからだ。
反対する側から、オリンピック・パラリンピックがどう見えているのか。 スポーツについて、どう捉えられているのか知りたかった。

 オリンピック・パラリンピックが開催都市や社会にどのような影響を与えているのか。
 反対運動が国際的な連携をつくって展開されるようにもなっていること、 アスリートや元アスリートの中にも積極的に政治的な発言をする人がいることなど。
本書を読んで、初めて知ったことが少なくない。

 私は、パラスポーツの面白さ、パフォーマンスの素晴らしさにばかり注目していて、
パラリンピックという大会そのものについて、深く考えていなかったのかもしれない。

 本書の補章「反対運動からスポーツの非オリンピック化へ」(小笠原博毅氏)の中に、
 「スポーツとオリンピックが相容れないという認識は、日本ではなかなか理解されないまま現在に至っている」という指摘があった。

この一言に、私は「パラスポーツが好きだ」という思いが救われた気がした。 
 オリンピック・パラリンピックの反対意見、反対運動について、あまり良く知らない人、馴染みがない人は、 この本の一番、最後に収められている「補章」に目を通したうえで、最初から読み始めるといいかもしれない。 今、お勧めの1冊。