2017年11月29日水曜日

【動的平衡ダイアローグ】大人になるって、どういうことですか? ノーベル文学賞のカズオ・イシグロさんと、生物学者福岡伸一さんの対談より


「動的平衡ダイアローグ」に収められている
生物学者福岡伸一さんと作家カズオ・イシグロさんの対談。

イシグロさんがノーベル文学賞を受賞されたことを受けて、改めて読んで、
イシグロさんの小説が取り扱っているテーマについて、いろいろ考えさせられました。

カズオ・イシグロさんは、「大人になる」ということについて、次のように話しています。

大人になるということは、自分も含めた人間の欠点と向き合い、
ときにはそれを許すこと、人間とはそういうものだと理解することではないでしょうか。
人生は現実にはかなり困難だけど、それでもそれに適応していかなければならないと悟ることだと思います(カズオ・イシグロ)

イシグロさんが小説で扱っているテーマの一つに「記憶」があり、
記憶は、人を苦しめることもあれば、救うこともあるということを描いています。
イシグロさんの小説(フィクション)を読むことで、
読者は、自分自身の「記憶」を少し離れたところから俯瞰する視点を
持てるかもしれません。

小説(フィクション)とノンフィクションとは違いがありますが、
人物や出来事を描くという点では重なります。
何を、どう描くのか、自分自身の表現のアプローチも考えてみたいと思いました。
「動的平衡ダイアローグ」の副題は「世界観のパラダイムシフト」。

「動的平衡」は、福岡さんが生物学的な視点から生み出した言葉ですが、
物事や状態の捉え方(パラダイム)を示しています。
生物学だけでなく、哲学、芸術にも応用できる(シフト)ことを示しているのが、
本書の位置づけです。

#福岡伸一#カズオイシグロ#動的平衡#対談#読書


2017年11月24日金曜日

「感度」は知っているけど、「特異度」って何? 自分の意見をはっきり言うことができますか?





臨床検査の用語に「感度」と「特異度」というものがあります。
これらは、その臨床検査が有用なのかどうかを判定する指標になるものです。

「感度」は、他の分野でも使われている言葉なので、
イメージがしやすいと思いますが、
「陽性(疾患あり)」の人を「陽性」だと判定する割合
つまり、感度が高い検査は、疾患がある人をきちんと見つけられる割合が高いことになります。

「特異度」は、一般的にはあまり聞きなれないかもしれませんが、「感度」とは逆で、
「陰性(疾患なし)」の人を「陰性」だと判定する割合を示します。
つまり、「特異度」が高い検査は、疾患がない人をきちんと陰性だと判定する割合が高く、
疾患がない人を間違って陽性(疾患あり)と判定する割合は低いことになります。


感度、特異度の言葉の意味を、少しゆるく捉えてみると
「あるものは、ある」と言える割合
「ないものは、ない」と言える割合
とか、
「正しいことは、正しい」と言える割合
「間違っていることは、間違っている」と言える割合
みたいなことを思いつきます。

肯定的な事柄であれば、「あるものを、ある」と言いやすいですが、逆に、
他人をからかっている人に対して、「悪いものは、悪い」と面と向かって言えるでしょうか。

事柄にも、相手にも、時と場面によっても、言える、言えないがあるように思います。

相手に「言いにくい」内容でも、必要であれば、伝える必要は出てきます。
それを言える「特異度」を高めるには、どうしたらいいでしょうか?

#コーチング#自分掘り起し#人生の課題#コミュニケーション

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2017年11月20日月曜日

「これをやりたい」というものが見つからない。それは問題ですか?


#京都#四条大橋



「やりたいこと」は、いくらでも思いつくだろけれど、
「やれること」はとても少ない
「やらねばならぬこと」を、どんどん背中にのせていったら
なんにもやれなくなってしまう。
その人その人が、なんでも
「やれるようにやる」のがいいんだと思う

糸井重里さんの著書「ボールのようなことば。」に、こんな言葉がありました。

1対1のコーチングを受けていただいているクライアントさんが、「やりたいこと」について、「今のままではダメだと思うし、何かを変えないといけないと思うんですけど、でも、やりたいことがあるかと言われると、特に見つからないんです」
と言われたことがありました。

趣味とか遊びでは、好きなことがあるけれど、
自分の時間や労力の大半を掛けて「これをやりたい」と思うようなものが見つからない。
転職をしたいけれど、「この仕事をしたい」というものが見つからない。

そんなお話でした。

この話を、糸井さんのことばにあてはめていくと
「やりたいこと」は、趣味や遊び
「やらねばならぬこと」は、仕事
ということになるかもしれません。

「やらねばならぬこと」が、しんどい、楽しくない。だから、変えたい。
でも、代わりに何を「やらねばならぬこと」にすればいいのか。
その選択肢が見えないという状況なのだと思います。

これは、
糸井さんの言うとおり、
「やらねばならぬ」をどんどん背中にのせると、
なんにもやれなくなってしまう。
なのかもしれません。

趣味も、遊びも、仕事も、「やれるように、やる」のがいいのだろうけれど、
でも、その按配が難しいから、悩んじゃうんですよね。

そんなことを考えながら、
クラアントさんの口から「これをやってみます」「次は、こうしてみます」という言葉が出てくるように、コーチングの次の一手の問いを考えています。


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2017年11月13日月曜日

【センス・オブ・ワンダーを探して】私の物事の見方って、大丈夫?と疑ってみたら



「この人が、日本人で良かった」と、私が勝手に思っている人がいます。

正確に言うと、「同じ言語を使っている人で良かった」ということで、
なぜなら、この人が書いた本やら、書いた文書を読むことができ、
学ぶことができるからです。

それは、ずばり、福岡伸一先生。

生物学者です。画家のフェルメールについて書かれていたり、
最近は哲学に関する本もあります。

福岡先生が物事を解説する時に使う比喩、例え話は、状態とか情景が絵に浮かび、
感覚的に、私にはピタッときます。

あぁ、分かりやすい。
ここで、その例えを使うのか、
すごいなぁ、この先生。
こういう先生の授業だったら、眠くならないだろうな。
と思ったりします。

最近、手に取ったのは「センス・オブ・ワンダーを探して」という
阿川佐和子さんとの対談本。

福岡先生と阿川さんの
子ども時代のエピソードから始まり、

「生きているとはどういうことか」とか
「科学の進歩は、人を幸せにするか」とか
とても深いテーマに触れている章もあります。

私は、物事の見方について、改めて考えさせられた点が多くありました。

福岡先生は、
「本当は世界は繋がっているのに、私たちは常に部分を切り取ってその中だけでものを考えがちになっている」と指摘しています。

私は、この箇所を読みながら、

世の中で起こっていること、
例えば、環境問題について、
自分の暮らしや健康や生命に繋がっているという意識を持って、ものを考えることができているだろうか?と考えました。

「たしかに、問題だ」と思いつつ、
一方で、とりあえず、今、直接、自分の暮らしに困った現象が起きていないということで、安心してしまっていると思います。

つまり、判断基準は、自分の健康とか暮らしとか、自分だけの世界で捉えていて、
地域とか、自然とか、環境とか大きな世界とのつながりを、どこか薄いものの
ように感じているのです。

私の物事の見方って、大丈夫?
そういう見方では、見えないところがたくさんあるんじゃない?

と問い直す一冊でした。



#読書#福岡伸一#阿川佐和子#センス・オブ・ワンダー#自己啓発