2018年5月7日月曜日

何度も涙がこぼれた理由は?#りんどう珈琲#クルミド出版



なぜ、涙がこぼれるのか、分からないまま何度も泣きました。

「りんどう珈琲」(古川誠・著)
を読み終えた後、改めて自分自身に「なぜ?涙がこぼれたんだろう」と問い直していますが、ハッキリとした理由は分かりません。

主人公の女子高校生・柊ちゃんと似たような思いや気持ちを
かつて、自分自身が抱えたことがあったような気もするし、

分からないもの、曖昧なもの、違和感を感じたものに対して、
まっすぐに向き合っていこうとする柊ちゃんの姿勢を、
少し羨ましく感じたかもしれません。

「大人」とみなされる年齢に達してから、かなりの時間が経過しました。
その時間の中で、さまざまな人と出会い、楽しいことも、嫌なことも経験し、
かつては熱くなったり、憤ったりしていた事柄に対して、
今はもう、心を燃やすことが空しくなっていることが分かり、
新たなチャレンジをすることが、少し億劫になっています。

そんななかで読んだ「りんどう珈琲」は、
「自分が大切にしたいものは、何か」ということを、
改めて考えさせてくれる物語でした。

12話で、
主人公の柊ちゃんが、次のように語る箇所があります。

わたしは、大きな声でたくさんしゃべる人が評価されて、
静かで黙々と自分の人生を生きる人が損をしているように感じる場面をたくさん見てきた。

わたしは、そういう違和感をいつも持っていた。

でも、わたしはお店で働くことで、弱い人や孤独を抱えている人の優しさを知った。
そういう人の中に、深くて暖かい世界があることを知ったんだ。

「静かで黙々と自分の人生を生きる人が損をしているように感じる」
そんな場面を、私自身も感じたことがありました。
障害のある人に関わる活動をしているのは、「損をしている」と思える場面を、
何か少しでも覆すような行動をしたい気持ちがあったことが、理由の一つとしてあったように思います。

忘れていたわけではないけれど、改めて思い出し、
その頃と、今とが、まったく同じというわけではないけれど、
変わらないものもあると感じています。

「人それぞれ、自分の人生を生きている」
そんな指摘に頷きながら、自分の振り返りを促された一冊です。


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