「感情失禁」なんて言葉があるそうです。
季刊誌コトノネvol20
六車由美さんのインタビューで紹介されていました。
六車さんは、介護民俗学を提唱されている民俗学者で、
「事実を聞く」ことが人を力づける可能性を示しています。
以前に読んだ著書「驚きの介護民俗学」がとても印象に残っており、
また、私の故郷に近い静岡県の沼津にある高齢者のデイサービスで
お仕事されていることもあり、インタビュー頁を楽しみにしていました。
「コトノネ」インタビューによると、
「感情失禁」とは、気持ちが高ぶって、泣き出してしまったりすること。
老人ホームでは、ご高齢の方は穏やかに毎日を過ごされていて、何も話さずに、部屋でじっとテレビを観ていたりする。
そこでは、感情が高ぶったりすることはいいこととされていない。
そこでは、感情が高ぶったりすることはいいこととされていない。
六車さんは、その状態に違和感を感じ、
「わたしたちの日常とはまったく違う、あれを異常と思わない感覚を変えていきたいと思った」といいます。
「わたしたちの日常とはまったく違う、あれを異常と思わない感覚を変えていきたいと思った」といいます。
その手法が、ご高齢の方を対象に「聞き書き」です。
聞き書きをしていると、お年寄りは話しているうちに、怒りが沸いてくることがあるし、
いろいろな感情があふれてくる。それこそが「普通の人のあり方」であり、聞き書きに効果があるとしたら、「非日常であった福祉の世界に、日常的な人と人との関わりを回復させることなんです」と話しています。
障害のある方を対象にした福祉も、高齢の方を対象にした介護も、
その分野の仕事に携わっていない人からみると、違和感を感じるものがあります。
福祉や介護の「専門性」はもちろん大切とは思うのですが、
「人」を相手にする仕事でありながら、
「普通の人のあり方」をどこかに置き忘れてしまっているところがあるのではないか。
と思うことがあります。
「あなたは、この分野で仕事をしたことがないから、分からないのよ」
「素人でしょ」と片づけるのはたやすいですが、
「違和感」を感じた人からの質問や意見は、
見落としがちなものに気がつかせてくれるものだと、改めて、思いました。
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