2016年11月22日火曜日

【感情失禁って、なんですか?】 季刊誌コトノネVol20 六車由美さんインタビューを読んで


「感情失禁」なんて言葉があるそうです。

季刊誌コトノネvol20

六車由美さんのインタビューで紹介されていました。

六車さんは、介護民俗学を提唱されている民俗学者で、

「事実を聞く」ことが人を力づける可能性を示しています。

以前に読んだ著書「驚きの介護民俗学」がとても印象に残っており、

また、私の故郷に近い静岡県の沼津にある高齢者のデイサービスで

お仕事されていることもあり、インタビュー頁を楽しみにしていました。

「コトノネ」インタビューによると、

「感情失禁」とは、気持ちが高ぶって、泣き出してしまったりすること。

老人ホームでは、ご高齢の方は穏やかに毎日を過ごされていて、何も話さずに、部屋でじっとテレビを観ていたりする。

そこでは、感情が高ぶったりすることはいいこととされていない。

六車さんは、その状態に違和感を感じ、

「わたしたちの日常とはまったく違う、あれを異常と思わない感覚を変えていきたいと思った」といいます。

その手法が、ご高齢の方を対象に「聞き書き」です。

聞き書きをしていると、お年寄りは話しているうちに、怒りが沸いてくることがあるし、
いろいろな感情があふれてくる。それこそが「普通の人のあり方」であり、聞き書きに効果があるとしたら、「非日常であった福祉の世界に、日常的な人と人との関わりを回復させることなんです」と話しています。

障害のある方を対象にした福祉も、高齢の方を対象にした介護も、

その分野の仕事に携わっていない人からみると、違和感を感じるものがあります。

福祉や介護の「専門性」はもちろん大切とは思うのですが、

「人」を相手にする仕事でありながら、

「普通の人のあり方」をどこかに置き忘れてしまっているところがあるのではないか。

と思うことがあります。

「あなたは、この分野で仕事をしたことがないから、分からないのよ」

「素人でしょ」と片づけるのはたやすいですが、

「違和感」を感じた人からの質問や意見は、

見落としがちなものに気がつかせてくれるものだと、改めて、思いました。






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