大学生の頃、仲良くなった男の子たち
作家・村上春樹さんの大ファン(ハルキストもしくはハルキニストと呼ぶそうです)がおりました。
私自身、当時、いくつかの作品は読んだのですが、強く魅かれることがなく、
ハルキストの気持ちが分からない。
それで、「どうして、そんなに村上春樹が好きなの?」と
率直な質問を投げてみました。
私の身近にいたハルキストの多くは、
「作品の中の“僕”が、まるで自分のような気持ちになる」とのこと。
作品に登場する「僕」を読むと、まるで自分のことを書かれているような気持ちになるそうです。
そういう感覚を、私は感じたことがなく、
ハルキストの気持ちがやっぱり分からない。
村上春樹さんのエッセイは、心に響くので好きなのですが、
小説に対しては苦手意識を持ったままでした。
内田樹さんの著書「もういちど 村上晴樹にご用心」は、
ハルキストの気持ちが分からない私に、ぴったりな一冊。
なぜ、ハルキストの気持ちが分からなかったのか、
その分からなかった理由が、分かります。
■「心を鎮めてくれる問い」とは?
村上作品のなかで「30~40代の女性にお勧めの一冊」として、
内田樹さんが推薦したのが「神の子どもたちはみな踊る」。
阪神淡路大震災のあとに書かれた短編が収録されています。
内田先生は、巨大な出来事の後で、心を一番鎮めてくれた問いについて書かれています。
答えは、「何をして欲しいか?」ではなく、「自分に何ができるか?」という問いです。
「何をして欲しいか?」という問いは、どれくらい傷ついたか?、どれくらい失ったかを数え上げていかないといけない作業が発生する。
これに対し、「何ができるか?」は、「自分に何が遺されているか?」「自分にどんな才能があるか?」を数えていく作業になる。心理的な健康のためには、自分に遺されているもの、自分が持っている能力を数えていくほうが健全だということです。
コーチングでも、時々、「失敗」や「上手くできない課題」をテーマにする方がありますが、その時に、失敗の原因や課題の構造をできるだけ正確に突き止めることは、それほど重要ではありません。過去を振り返ることは大切ですが、原因を追求するだけでは、前に進めない。
過去の失敗の原因が曖昧でも、「次に何をしよう」「次に何ができる」など、
思考のベクトルを、過去ではなく、未来に向けることができる時、
思考のベクトルを、過去ではなく、未来に向けることができる時、
思考が前を向き、心も鎮まるのだと思います。
#コーチング#村上春樹#ハルキニスト#内田樹
0 件のコメント:
コメントを投稿