2018年1月15日月曜日

チャンスは、どこに降りるのか。#ユージン・スミス#写真#動的平衡

報道写真家ユージン・スミスについて、
それほど詳しく知っていたわけではなく、
彼の写真を記憶にとどめていたわけでもありません。


東京都写真美術館で開催されている「生誕100年 ユージン・スミス写真展」のポスターに、幼い子ども2人が手を取り合って前方へ歩いていく様子を背後から捉えた写真が使われていて、印象に残っていました。

「なんか、良さそう」という勘は、当たりました。

ニューヨークの風景、ジャズミュージシャンの表情
田舎で働く医師の姿をとらえた「カントリー・ドクター」のシリーズ、
日本の水俣公害やその訴訟や日立の工場

被写体の居る領域にぐっと踏み込んでシャッターを切っているもの、
また、被写体からずっと離れて、ものすごく俯瞰して捉えているもの、
私が、もし、同じ被写体を前にして撮影するとしたら?と考えさせられる写真が多くありました。

「シャッター・チャンス」という言葉がある通り、
写真は、一瞬を切り取るもので、同じチャンスは二度とない。
人であれ、風景であれ、「今、ここ、これだ!」と思う瞬間に、被写体を捉え、自分が表現したい画として切り取るのだと思います。

撮りたい写真を撮るには、技術を磨いたうえで、
「今、ここ、これだ!」というチャンスを掴まなくてはいけないように思います。

チャンスは、いつ、どのように掴むことができるのか?

福岡伸一博士は、「チャンスは準備された心にのみ降り立つ」と言っています。
科学の重要な発見ができた人と、できなかった人の差は、準備された心の有無。
専門知識をそなえた経験豊富な科学者でも、重要な発見を逃していたりします。
工芸学校に学び、商船会社に勤めた経験のある科学者が、抗生物質の発見者になっています。
つまり、工芸学校の手先を使った技巧や創作の経験が、発見を「準備する心」のバックグラウンドになったのではないかと、福岡氏は指摘しています。

写真も同じで、「今、ここ、これだ!」というものに偶然に出会えるわけではありません。
シャッターを切るまでの過程に、さまざまな準備があると思います。
準備する心のバックグラウンドをつくることは、自分自身が様々な人と出会い、経験をし、そして一人で考えを深めることも含まれる気がします。

チャンスは、準備した心にのみ降りてくると信じて、
カメラマンはファインダーをのぞき、
ライターは、筆をとるのです。




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