2016年5月18日水曜日

「理不尽なことは、ある」 と言う技術



「理不尽なことも、ありますよ」

福祉関係の仕事をしている友人が、
何かの折に、ぽろりとこぼした。

具体的なことは、何も言わなかった。

仕事のなかで向き合っている相手やご家族の
プライベートなことに関わることだったのかもしれない。
職業上、それを他人に明かさないという守秘義務がある。

しかし、話の隙間にこぼれた「理不尽なことも、ある」という
一言が、私の中で、とても印象に残った。

「困っている人には、手を差し伸べるべきだ」
「自立のためには、甘やかしてはいけない」
「時間は、守るべきだ」
「人を傷つけることは、いけないことだ」

人はそれぞれ、自分の中で、「こうしたほうがいい」「こうするべきだ」という価値観、
信念を持っている。

しかし、社会の一員として生きているなかで、

自分の価値観と、異なる価値観を持ってる人と出会うことがある。


「違う人も、いるよね」とか

「世の中には、いろいろな人がいるなぁ」と考えて、

自分と他人との違いを流せればいいのだが、

頭の中でそう思っていても、気持ちがモヤモヤしたり、イライラすることがある。

「理不尽なことも、ある」という一言は、

モヤモヤやイライラの感情を、

いったんスパッと切り捨てる言葉だと思った。


価値観や信念が傷つけられ、

それらが揺らぐような出来事があった時、

「理不尽なことも、ある」と言うことで、

しなやかに乗り切っていくことができるかもしれない。

「諦め」とは、違う。

しなやかに、強く生きるための技術だろう。



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