2023年8月8日火曜日

【諦める力】「自分らしさ」は、創り出せるものではない

 

学習塾へ通うか、通わないか。

どの学校へ進学するか。

部活をどうするか。専攻はどうするか。

国家資格取得を目指すのか。

どの業界、どの会社に就職するか。

 人生において、選択しなければならないことがたくさんある。

小学生くらいまでは、保護者の意向がかなり反映される気がするが、

年齢が上がってくるに連れて、「これが好き」「これをやってみたい」など、自分自身で考えて選択することが増えてくる。

結果的に「自分で選んだ」としても、保護者や周囲の人々の影響は大きいだろう。

後から振り返って考えてみると、「それほど好きではなかったけれど、親に褒められるのが嬉しかったから続けた」というような選択もあるかもしれない。

 どんな選択であっても、大切なのは、自分自身が納得することに違いない。

 

元・陸上選手の為末大さんの「諦める力 勝てないのは努力が足りないからじゃない」(プレジデント社)は、現役を引退した2012年の翌年に出版された書籍だ。今から10年近く前の本だが、「諦める」というキーワードをベースに、その時その時の人生の選択について、その基盤となる考え方や視点が書かれている。スポーツ選手だけではなく、高校生や大学生、社会人でも参考になる本だと思う。

 

本書の中に、『「オンリーワン」の落とし穴』というテーマで書かれた箇所があり、

為末さんは、ヒットソングに出てくる、「ナンバーワン」にならなくても、「オンリーワン」であればいいという考え方に注目して、次のように書いている。

 

「あなたはオンリーワンだからそのままでいい」という考え方の落とし穴は、社会に存在する物差しで自分を図ることを諦めなさい、ということである。どんなに恵まれている人でも、自他ともにオンリーワンと言い切れるほど特徴がある人間なんてほとんどいない。

「あなたはあなたのままでいい」という言葉を疑いなく受け入れられるほどの自己肯定感は、「社会側から自分に一切認められなくてもいい」という諦めと一体なのだ。(中略)

自分らしくあればいい、と言われても、自分らしさとはいったい何かということがわからないから人は苦悩しているのだ。

 

究極的には、誰にも自分らしさなどないのではないかと思う。

自分らしさと思い込んでいるものは、他人から聞いたこと、どこかで見たもの、何かで読んだことの寄せ集めにすぎない。一つひとつを取り出せば特徴がなくても、その組み合わせが自分らしさと呼ばれているものになる。それを「オンリーワン」という言葉でくくってしまうと、かえってハードルが高くなる。

(本書P183-184

 

「自分らしさ」とは何なのかと考えてみると、私自身、他人に説明するのは難しい。

何かを選択して、その理由を誰かに説明した時、他人が「あなたらしい」と言い、それを「自分らしさ」と思うこともあるかもしれない。他人からそう言われても、自分ではそう思っていないこともある気がする。

 

結局、「自分らしさ」は、さまざまな言動の結果であって、意図して作りだせるものでもないのではないか。

 

日常生活のその時その時で、

目の前にある事柄について考えて、選んだり、決めたりして、行動する。

それを繰り返していくことがが、自分の人生を生きていくということで、

その結果が「自分らしさ」かもしれない。

 

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