2023年2月23日木曜日

【植物考】「植物を考える」と「自分なんて小さな存在だなぁ」と思う


「植物考」(藤原辰史・著、生きのびるブックス)は、タイトルの通り、さまざまな視点から「植物を考える」一冊だ。

 

著者は、「はたして、人間は植物より高等なのか?」という問いを掲げる。

 

「人間は植物より高等だ」と考えるのは傲慢な気がするが、逆に「植物は人間より高等だ」と言い切ることも、腑に落ちない。

私は、樹齢が長い大木を眺めて「すごいなぁ」と思ったり、花びらを見つめて「絵具で作れない色合いだわ」と思うことがある。

しかし、人間は、作物を育てて食用にしたり、住宅の建材にしたりする。庭に花を植えたり、観葉植物を育てたりする。植物のすべてが人間の思いどおりになるわけではないけれど、人間は植物に影響を及ぼすことができる。そう考えると、「高等だ」と断言はしないものの、植物を自分より下に見ているかもしれない。

 

本書では、植物の在り方や特性として、次のような点が挙げられている。

「植物には知性がある」

「植物は移動する」

「植物が人間の歴史を動かした」

「人間は植物がないと地球上で生きられないが、植物は人間がいなくても生きていける」

 

植物は基本的に「知性がない」「動かない」と思っていたが、そうではない面があると知り、

人間が植物に及ぼす影響より、植物が人間に及ぼす影響のほうが大きいかもしれないと思えてきた。

 

改めて、「人間は、植物より高等なのか?」という問いに戻ると、これは「人間は、植物より高等とは言えないのではないか?」という問いと表裏一体だったのかもしれない。

「人間は、植物より高等とは言い切れない」という答えを、様々な根拠を挙げて解説したと言えるだろう。

 

「植物を考える」ことは、植物と人間を対比して、「人間を考える」ことになる。

植物の在り方・生き方を、自分自身の在り方・生き方と比べたり、重ねたりして考えることになるはずだ。日常生活の中で起こる出来事に右往左往していたり、対人関係で疲れてしまった人に、お勧めしたい1冊。


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