2022年10月4日火曜日

障害は軽いほうがキツイ?

 

 「知的障害は軽い人ほうがキツイかもしれない」
 障害者に接する機会が多い友人と、 知的障害のある人について話していた時、 こんな指摘があった。 「キツイ」というのは「生きづらい」という意味だ。 

 障害の程度が軽い場合、重い人と比べると、「できる」ことが多い。
 障害のない人と一緒に働いたり、自分の意思で稼いだお金を娯楽に使ったりすることができる。
 一方で、障害のない人と障害のある自分とを比べて、その違いを自覚する。障害のない人からの偏見や差別にも気が付く。そして、劣等感を抱えている人もいる。 自分自身の障害や、障害のために生じる「差」が分かることで傷つく。 それゆえに「生きにくさ」=「キツさ」があるように思うということだった。

 「初恋、ざらり」は、軽度な知的障害のある女性・上戸有紗と、障害のない男性・岡村の恋愛を軸に、職場の人や家族との人間関係を描いている漫画だ。

 二人の恋愛が進展していく過程で、
好きな相手に、障害を隠し続けるのか。カミングアウトするのか。
 付き合い始めた後、相手に障害があることを知った時、どう受けとめるのか。
 日常生活や仕事で、障害ゆえに起きる「失敗」の出来事に、どう対応するのか。
 親に紹介する時、相手の障害についてどう説明するのか・しないのか。 
などなどの課題が描かれている。 

有紗と岡村それぞれの心情が細やかに表現されている作品だと思う。 

 この漫画を読んで、改めて
「障害が軽い人のほうがキツイかもしれない」という友人の指摘を考えた。 

障害の種類や程度と、「キツさ」を単純に結び付けるのは不適切かもしれない。 
ただ、その「キツさ」がどういうものか。 どういう場面で、どんな出来事に直面し、戸惑ったり、悩んだりするのか。 また、それを乗り越えるには、どうしたらいいのか。 この漫画は一つの例を示してくれている。


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