2021年2月8日月曜日

【アーモンド】他人の感情を理解できない少年が、愛を知る物語

 
 他人の感情を理解できない人は、「モンスター」だろうか? 
いや、他人の感情を100%理解できる人など、そもそもいるのだろうか。 
「お互いに、ある程度、理解しあえているよね」という前提で人間関係を築いているのではないか。そんなことを考えさせられた。 

 「アーモンド」(ソン・ウォンピョン著、矢島暁子・訳)は、脳の偏桃体が生まれつき小さく、人の感情が理解できない主人公ユンジェの物語。
偏桃体は、大きさから「アーモンド」と呼ばれているそうで、小説のタイトルもこれを採っている。

 人の感情が分からないという「障害」を抱えた子どもは、どう成長するのか。 成長する可能性があるのか。 著者は、そんな問いを立てて、執筆したのかもしれない。

物語は、主人公の語りで進んでいくが、行間に母親が息子に注ぐような視線の温かさを感じた。 人の温もり、優しさを感じて、ほっこりする一冊。

0 件のコメント:

コメントを投稿