2020年9月9日水曜日

【二週間の休暇】大人の夏休みとは、こういうものかもしれない

 


もしかしたら、「大人の夏休み」とは、こういうものなのかもしれない。
フジモトマサルさんの「二週間の休暇(新装版)」を読んで、そう思った。

大人になると、なかなか休めない。
会社員として働いて、
休日になると、その時間を有効に活用しようとする。
家を掃除したり、料理したり、趣味をしたり、
習い事をしたり、資格の勉強をしてみたり、、、。
子どもがいれば育児があり、
高齢の親がいれば介護があったりする。
稼働している日が多い。

そんな大人にとって、本当に休むのは、どういうことなのか?

「二週間の休暇」は、
記憶をなくした主人公が、2週間、それまでとは異なる世界で過ごす物語だ。
なぜ、そこで暮らしているのか不明のアパートで、手料理をつくったり、
見知らぬ街の住人、鳥たちのインタビューを起こして、まとめたり、
それまでと何かが異なるけれど、何かが変わらない世界。
そこで過ごした二週間は、主人公に何をもたらすのか。

大人の夏休みは、
それまでの自分をいったん忘れて、
自分は一体、どんな人間なのか
どんな生活をしたいのか
どんな仕事をしたいのか
どんな人と出会いたいのか
それらを確かめるための時間を過ごすことではないだろうか。

フジモトマサルさんの創った世界では、
登場人物たちが発する言葉は多くない。
物語を展開するために使われる言葉もほとんどない。
描かれた人や動物の動き、
建物や景色で、ゆるやかに物語が進んでいく。
そして、そのなかに、文字にしない言葉がたくさん詰まっている。


0 件のコメント:

コメントを投稿