丸谷才一さんの著書「思考のレッスン」に、読書の効用が3つ挙げられていた。
まず、第一は、「情報を得られる」ということ。
これまで知らなかったことを教わるのは楽しいし、得をする。
第二は、本を読むことによって「考え方を学ぶことができる」ということ。
本を1冊読んでおもしろかったり、感心したりしたら、そのままにしないで、著者のものの考え方は何が特徴か、どのように論理が展開されているかを考えると、とてもためになる。
第三は、「書き方を学ぶ」ということ。
本を読んでおもしろいと思ったら、それがどのような書き方をされているから感銘を受けたのか考えることが大事。
本書の初版が発行されたのは2002年。24年ほど前に書かれたものだが、読書の3つ効用は、現在でも変わらないものだと思う。
しかし、読書を取り巻く環境は変わった。
2007年に初代のiPhone発売され、スマホの普及とともにX(旧Twitter)などのSNSによる個人の情報発信が広がった。
今、情報を得るために、私がまず使うのはインターネット検索だ。著者の考え方や論理展開を整理したり、書き方を工夫するうえでも、「ChatGPT」などの生成AIの助けを借りる。これらは、自分の頭を捻って考えるよりも簡潔な要約を示してくれる。
「効率」という点からみると、読書よりこれらのツールを活用するほうが有用かもしれない。技術の進展とともにこうしたツールは今後もますます機能向上するだろう。
そのいう時代の中で、「読書ならではの効用」とは何だろうか。
私は、本を読むという「経験そのもの」に、他のものでは代替不可能な価値があると考えている。
本を読んだ時、著者の考え方や論理の展開がよく分からないことがある。では、「分からない」ことが無駄になるかというと、そうではないだろう。
実生活の中で出会った人の考え方が分からなかったり、矛盾を感じたりした経験は、誰にでもあるのではないか。それらをいったん受けとめるうえで、読書で培った「分からない」という経験が役に立ち、耐性になる気がする。
また、読書は、自分自身を現実の世界から、本の世界の中に退避させることができる。どのような本を選ぶかに依るが、読書は、人間関係や組織のしがらみからいったん自分自身を解放し、一人静かに過ごすひとときを与えてくれる。
「コスパ」「タイパ」など効率化が求められる時代の中で、あえて効率を求めない行為を選んでみることも大事だろう。
「分からない」ことを受けとめる余裕をもって、2026年も読書の経験を積んでいきたい。
#読書
#本好きな人と繋がりたい

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