2014年10月16日木曜日

空気のような存在



「空気のような存在」

子どもの頃、テレビドラマを見ていて聞いたフレーズ。

主婦が旦那さんのことを指して、そう表現していたものだと思います。

「空気のような存在」とは・・・

「いても、いなくても、同じような存在」?
「空気のように軽い存在」なのかしら?

その時は、どちらかというと、
マイナスの意味でとらえていましたが、

改めて考えてみると、

「空気のような存在」って、実は、すごく

深い意味があるのかもしれません。

茨木のり子さんの詩「(存在)」を読みました。

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あなたは、もしかしたら

存在しなかったのかもしれない

あなたという形をとって 何か

素敵な気がすうっと流れただけで

わたしも ほんとうは

存在していないのかもしれない

何か在り気に

息などしてはいるけれども

ただ透明な気と気が

触れあっただけのような

それはそれでよかったような

いきものすべてそうして消え失せてゆくような

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この詩にはタイトルがなかったのですが、

茨木さんのメモから推測されて、(存在)とつけられたそうです。

そこに「居る」、あるいは、「居た」ということ。

空気のように、その存在を感じていること。

それは、

とてもシンプルに、互いの存在を認めあっているということ。

なのかもしれません。

茨木さんは、「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」
という詩で有名で、強い意思を感じますが、

繊細さ、柔らかさを感じる詩もありますね。

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