「空気のような存在」
子どもの頃、テレビドラマを見ていて聞いたフレーズ。
主婦が旦那さんのことを指して、そう表現していたものだと思います。
「空気のような存在」とは・・・
「いても、いなくても、同じような存在」?
「空気のように軽い存在」なのかしら?
その時は、どちらかというと、
マイナスの意味でとらえていましたが、
改めて考えてみると、
「空気のような存在」って、実は、すごく
深い意味があるのかもしれません。
茨木のり子さんの詩「(存在)」を読みました。
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あなたは、もしかしたら
存在しなかったのかもしれない
あなたという形をとって 何か
素敵な気がすうっと流れただけで
わたしも ほんとうは
存在していないのかもしれない
何か在り気に
息などしてはいるけれども
ただ透明な気と気が
触れあっただけのような
それはそれでよかったような
いきものすべてそうして消え失せてゆくような
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この詩にはタイトルがなかったのですが、
茨木さんのメモから推測されて、(存在)とつけられたそうです。
そこに「居る」、あるいは、「居た」ということ。
空気のように、その存在を感じていること。
それは、
とてもシンプルに、互いの存在を認めあっているということ。
なのかもしれません。
茨木さんは、「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」
という詩で有名で、強い意思を感じますが、
繊細さ、柔らかさを感じる詩もありますね。
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