「文芸ピープル」(著者・辛島ディヴィッド)は、最近、日本の作家、特に女性作家の作品が英語圏で相次いで翻訳され、出版されている状況について、
アメリカやイギリスの翻訳者や編集者に話を聞いて、まとめたものだ。
「村上春樹は、海外でも人気」ということは知っていたが、それ以外の作家の作品の動向はあまり気にしていなかったので、興味が沸いた。
若手の翻訳家が出てきたこと、
新しい作品、作風が求められており、韓国や日本の女性作家の作品も注目されていること
大手の出版社ではなく、独立系の出版社から出されていること
などなど、イギリス、アメリカの出版業界の状況を断片的に知ることができて、面白かった。
当然だが、原作をそのまま、日本語⇒英語にすれば済むというものではない。
登場人物の名前が、英語では読みにくい・覚えにくい場合、別の名前に変えたり、
「姑」を、どう表記するか、検討したりしている。
作品のタイトルをどう訳すか、表紙をどうするかは、
書店で手に取ってもらえるか、目をとめてもらえるかに関わることで、当然、重視されている。
村上沙耶香さんの作品「コンビニ人間」
英語翻訳版のタイトルは、「Convenience Store Woman」
本書によると、出版社は、あえて「Human」ではなく、「Woman」を採用したという。
表紙の雰囲気も、日本の書籍とはかなり違う点が面白い。
小山田浩子の「穴」、タイトルはそのまま「Hole」だけど、表紙の雰囲気はやはり異なる。
新型コロナウイルス感染症が終息して、海外に旅行できるようになったら、
英語圏の書店の棚を覗いてみたい。
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