「旅する練習」(乗代雄介・著)は、作家の主人公が、中学校入学を控えた姪とともに、千葉県我孫子から茨城県鹿島まで歩いていく物語だ。
我孫子って、どんなところ?
鹿島って、何があるんだっけ? と、思いながら読み始めた私にとっては、 ガイドブックのような本だった。
主人公は、旅の行程のところどころで見たもの、捉えたものを綴っていく。
その中で、民俗学の祖といわれる柳田國男のこと、小島信夫の作品「鬼(えんま)」のことなど、土地に縁がある作家や作品について触れており、 「へぇ、なるほど、そんな地域なのね」と思わされる。
一方、姪っ子の亜美(あび)は歩きながらサッカーの練習、リフティングを続けている。
鹿島を本拠地とするサッカーJリーグの「鹿島アントラーズ」のこと、
このチームのクラブアドバイザーとなっているブラジルの元サッカー選手ジーコのことも物語の中で紹介される形になっており
「ジーコってそんな選手、監督だったんだぁ」
「鹿島アントラーズって、そういう地域にあるのね」と知り、思わず応援したくなってきた。
物語の終盤は、そういう終わり方になっちゃうのかぁ…と、少し残念な気もしたのだが、別の終わり方にしたら物語にそれほど起伏ができなかったかもしれない。
読み終えた後、 我孫子から鹿島まで歩いてみたくなった人、意外と多いのではないか。
作品の舞台になった土地を訪れる「聖地巡礼」を、この「旅する練習」を片手にやってみたら面白そうだ。
「旅する練習」のルートが上手に活用され、集客できたら、地域振興・地域活性化に貢献する1冊になるかもしれない。
Amazon「旅する練習」
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