主人公は、恐妻を持つ殺し屋・兜。
文具メーカーのサラリーマンとして、妻と一人息子を養っている。
殺し屋という仕事を辞めたいと本気で思うようになった時、
物語は大きく動き出す。
私は女性なので、「恐妻」って、どういう妻のことを指すのだろう?と思いながら
読み進めた。
兜の妻は、私から見ると、とても「恐妻」には思えない。
こういう夫婦って、わりと多いんじゃないのかな。
夫婦関係で、こういうやりとりってあるあるで、
「恐妻」と思っているのは、主人公だけなんじゃないのだろうか。
裏の業界では知られている「殺し屋」が、妻を恐れているって個性が、
小説を面白くする要素だと分かってはいるのですが、
「恐妻」って、どんな人のことを言うのかは、ずっと気になり続けた。
夫からみて妻が恐いと感じられると、「恐妻」といわれてしまうけれど、
妻からみて夫が恐いと感じられると、「恐夫」とはいわないよね。
「亭主関白」ということになるのか。
暴力ふるうような夫は「DV夫」とか、別の言い方がありそうだし。
女性、妻は、優しくあるのが「普通」「理想」で、恐れられるのは普通じゃないから
「恐妻」などとマイナスの烙印を押されるのだろうか。
「恐妻」というワードが最後まで気にかかってしまった。
物語には、殺し屋とその友達の友情、父が息子に寄せる思いが描かれている。
伏線もクライマックスでちゃんと効いていて、楽しめる娯楽作品。
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