2019年3月19日火曜日

「へろへろ」だけど、熱くて、骨太な一冊。宅老所よりあいの人々の物語



書籍のメインタイトルが「へろへろ」。
「なんじゃ、この本?」と、たいていの人は思うでしょう。

本書は、宅老所「よりあい」をつくった人たちのことをつづった本です。
著者の鹿子裕文(かのこ・ひろふみ)さんは、仕事を干されて暇を持て余していた編集者でしたが、「よりあい」に巻き込まれていきます。

宅老所を立ち上げる中心人物たちと出会い、
知り合いになって、親しくなるうちに、
その人たちから頼まれたことを引き受けていくようになります。
その過程で、宅老所の関係者から「雑誌をつくってほしい」と依頼されることになるのです。

人が、人に魅かれる。
そういうことなのだと思います。
魅かれるだけで済まずに、行動することになるのは、
その人の魅力の強さかもしれないし、
その人との間で培った「つながり」、関係性の強さなのかもしれません。

高齢の方が安心して過ごせる場をつくりたい。
「老人ホームに入らないで済むための老人ホーム」をつくりたい。
関係者は、その目標に向かっていきます。

私が、とても考えさせられたのは、「お金」に関する話。

「世の中には、もらっていいお金と、もらっちゃいかんお金がある」
「意味のないお金で、どんなに立派な建物を建てたって、そんな建物になんの価値もない」
中心人物のひとり、下村恵美子さんの指摘です。

建物を建てるという目標を達成することだけがゴールなら、
テレビでも新聞でも利用して宣伝すればよかったかもしれない。
どのようなお金であろうとも、建物が建てられたらOKだからです。
でも、それには断固反対する人がいた。
「そこを間違えてはいけない」と主張する人がいたのです。
どのようなお金で宅老所を建てるのかということも、
宅老所の実現にとって重要だったのだと思います。

「もらっちゃいけないお金」は、受け取らない。
喉から手が出そうになるほど、お金が必要な時、その選択をできるだろうか。

自分で自分に問いかけたくなりました。

書籍のタイトルは「へろへろ」だけど、
中身はめちゃくちゃ熱く、骨太な感じがします。

へろへろ 雑誌『ヨレヨレ』と「宅老所よりあい」の人々

2019年3月15日金曜日

かみしめたくなる言葉、沁みる言葉 #吉野弘



吉野弘さんの詩は、読むたびに、言葉が心に沁みてきます。

じわじわ浸透してくるものもあれば、

心の中の深いところまで、グッと刺さってくるようなものもあり、

その時、その時、かみしめて読んでいます。

喜びのあとにくる涙の中を歩く
涙のあとにくる孤独の中を歩く
孤独のあとにくる新しい今日の中を歩く

これは、「歩く」という詩の一節です

喜び、涙、孤独、そして、また、新しい明日なんだな、としみじみ思いました。

妻と娘二人が選んだ「吉野弘の詩」




2019年3月13日水曜日

【まともがゆれる】常識に縛られて、生きづらさを感じている人にお勧めの1冊



「まとも」とは、簡単にいえば「常識」のこと。

常識を持っていることは、必ずしも悪いことではないし、持っていることで人間関係が保てることもある。

ただ、「常識」の中にも、「こうでなければならない」「こうしなければならない」という強制力が強くなりすぎて、「常識」に縛られることで、窮屈になってしまうものがある。

「常識」の範囲や強さは、常に一定に保たなくてはならないものではなく、
「常識」を持つ人が居心地よいように、柔軟にとらえてみたらいい。

器用ではない人は、この柔軟さをなかなか持てない。

だから、「常識」がゆれるような体験をしていくことが大事。

「まともがゆれる」ことで、たくさんの気づきがある。
そんな示唆を与えてくれる本でした。

まともがゆれる ―常識をやめる「スウィング」の実験