2018年11月28日水曜日

【夜長に、この一冊】ミステリーだけど、報道の在り方について受け手である読者に問いかける作品 #王とサーカス



異国の地で、王族が殺害されるという事件に遭遇する女性記者が主人公。

ミステリーなので、犯人は誰かという謎解きのストーリーなのですが、
主人公が自身の仕事である報道について、その在り方を自問し、答えを追い求めていくことが、ストーリーの軸になっています。

「自分に降りかかることのない惨劇は、この上もなく刺激的な娯楽だ」
「恐ろしい映像を見たり、記事を読んだりした者は言うだろう。考えさせられた、と。そういう娯楽なのだ」
登場人物が、主人公に投げた言葉。

惨劇は、娯楽。
厳しいけれど、核心をついていますよね。

テレビや新聞で取り上げられた出来事は、なぜ、ニュースになったのか。
世の中にある様々な出来事のうち、ニュースに取り上げられていないものは、
なぜ、取り上げられないのか。

何について知ろうとするのか。
その出来事について知った後、どうするのか。
知ったことを伝えることに、どんな意味があるのか。

問われた時に、明確に答えられるものを持っているかしら?
報道に携わる人は、改めて考えさせられるかもしれません。

このミステリーの読み手、
つまり、報道やニュースの受け手である人たちに、
報道やジャーナリズムの在り方について考えさせるようになっている点が面白いと思います。

#このミステリーがすごい#王とサーカス#米澤穂信




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