「普通じゃないよね」
「変わっているよ」
小学生くらいから、同級生や近所の友達に、よく、そう言われていました。
普通であることが良いことなのか、
変わっていることが悪いことなのか、
よく分からないと思ったことと、
私は「自分が良ければ、他人から何を言われても、別にいいや」と考えるところがあって、
ほおっておくことがたくさんありました。
思春期の年ごろになると、
なかなかほおっておいてもらえない、
いわゆる同調圧力を感じたこともあり、
なんだか面倒くさいなぁと思いつつ、
同級生の女子たちの興味関心、振る舞いに
表面的に調子をあわせている振りをしてみたこともあります。
学校社会ほど同調圧力は強くないけれど、
会社も一つの組織ですし、
成人して、社会に出てからも同調圧力を感じることはありますが、
最近は「多様性」という概念がずいぶん普及してきてもいるので、
まぁ、私は、私。「普通」の尺度は、自分で測ればよいもの。
と思うようになってから、ずいぶん経ちます。
村田沙耶香さんの「コンビニ人間」
芥川賞受賞作品として有名ですが、
この作品は「普通」とは何か?を問いかけてきます。
30半ばを過ぎて、コンビニ店員のアルバイトを続けている女性が主人公。
その年齢で、コンビニで、アルバイト。そして、独身。
両親や妹にとっての「普通」
同級生たちにとっての「普通」
コンビニで働く同僚たちにとっての「普通」
そして、主人公の「普通」
それらが交錯します。
生きやすさ、生きづらさ、とは何なのか?
そんな問いも含まれます。
他人にとっての「普通」にあわせて生きても、
自分の「普通」からズレていれば、生きづらい。
でも、自分にとっての「普通」が、
周囲の人たちの「普通」からズレている時、
生きづらさを感じる人もいる。
私の「普通」とは何なのか? 私は、どう生きるか?
そんな問いを突き付けてくる作品です。