人間関係、勉強、仕事、日常生活のあれこれ、なんだかうまくいかない。
私の性格が悪いのかな?
一つひとつ真剣に考えすぎず、他人との距離をもう少し広くとればよいのか。一生懸命に頑張るばなりではなく、適当に力を抜いて、時には理想を追うのを諦めて、途中で諦めてもいいのか。でも、そんなふうに考える自分が、嫌になる・・・。
うまくいかない時、思考はたいていマイナスのループにハマる。
外へ出て散歩して見たり、買い物に出かけたりして、いったん思考を止めるけれど、少し時間ができると、ああでもない、こうでもないと考え始めてしまう。
「なんだか、うまくいかない」という程度なら、そのうち「まぁ、いいか」「しかたがないな」「そういう時もあるよな」と思えることがある。
しかし、これが「生きづらい」と感じるほど深刻だったら、どうしたらよいだろう? 思考がマイナスのループにはハマったままでいるのは、苦しい。そこから抜け出す何かがほしくなる。
「愛という名の支配」(田嶋陽子・著、新潮文庫)は、「生きづらさ」を感じている女性たちのための本だ。
著者は、自身の母親との関係から、女性として生きることに「生きづらさ」を感じていた。なぜ、「生きづらさ」を感じているのか。「生きづらさ」から解放されるためには、どうしたらよいのか。
本書は、女性の「生きづらさ」の原因が社会構造の中にあることを示し、
それにどう対応したらよいかを提案している。
「生きづらさ」の原因が、自分自身ではなく、別のところにあることを知ると、気持ちはずいぶん楽になる。
原因がはっきりすると、それに対してどう向きあえばいいのか。まず、第一歩として何をするか?などと考えることができ、思考がマイナスのループから抜け出せそうだ。
本書は1992年に太郎次郎社から刊行、2005年に講談社プラスα文庫から刊行され、令和元年に新潮文庫から出されている。
女性を取り巻く環境は変わっている部分もあるけれど、そうではない部分もあるだろう。現代は、女性だけでなく、男性も「生きづらさ」を感じている時代かもしれない。
「生きづらさ」の原因、「生きづらさ」が生まれる背景について考える視点をくれる1冊。